沼津高専寮の寮生全員で構成する「寮生会」とは何なのか?詳しく解説します!

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寮生会の概要

沼津高専寮の寮生全員が全員加入する学生自治組織が「沼津高専寮生会」です。

第 2 条 本会は、沼津工業高等専門学校学寮の全寮生をもって構成する。

沼津高専寮生会会則

寮生会入会金を500円、会費として3000円を納入することで寮生会の活動費となります。例年、200人程度入寮するので、寮生会は160万円規模の予算を持った組織ということになります。(※)

第 64 条 会員は、入会金500円、会費年額3,000円を納入するものとする。ただし、会費は年度始めに半額、10月に残りの半額を納入するものとする。

沼津高専寮生会会則

また、「沼津高専寮寮生会」は、沼津工業高等専門学校学生寮規則に定める「学生寮における共同生活を自律的に運営するための組織」に該当します。そのため、寮生会には「寮生相互の個人生活を侵すことなく、かつ、学則に違反しない」範囲での自治が認められています

寮生会の組織

組織の概要

沼津高専寮生会には、寮生総会・本部部会・寮生会の3つの機関が存在します。

それぞれの関係性は以下のような図で表されます。

超簡潔に言うと、「寮生総会」=「国会」、「本部部会」=「内閣」、「寮生会」=「各省庁」みたいな感じです。

一つ一つの機関について解説していきます。

最高議決機関「寮生総会」

寮生全員で構成する最高議決機関が「寮生総会」です。

第 8 条 寮生総会は、本会の最高議決機関であり、全寮生をもって構成する。

沼津高専寮生会会則

寮生会則により寮生総会の定期総会は、年2回の招集が義務付けられています。また、寮長・本部部会・3分の1以上の署名により臨時総会を開くことも可能です。

第 10 条 定期総会は、4月と翌年2月の年度2回とするが、次の場合は寮長が臨時集会を召集しなければならない。

1 寮長が特に必要と認めた場合
2 寮生役員会本部部会(以下、本部部会)の要請があった場合
3 会員の3分の1以上の署名による要請があった場合

沼津高専寮生会会則

寮生総会の権限は、「予算の可決・決算の承認」「寮生会則の改正案の可決」ですが、いずれも形式的なものとなっているのが現状です。

予算・決算や改正案は、後述する本部部会と教員が厳しくチェックしたもののみが寮生総会に提出されており、基本的に寮生総会で議論すべきことが残っていることはありません。そのため、寮生総会は本部部会と教員の決定事項を形式的に追認する機関に成り下がっています

日本で「議員立法」と呼ばれる、寮生自らが寮生会則の改正案を提出するためには、

「1 会員の3分の2以上の要求(=署名)があるとき」という条件を満たしたうえで、本部部会で承認されて、かつ、変化を嫌う傾向が強い教員の承認を得たうえで、寮生総会で3分の2以上の賛成を得る必要があります。

つまり、「議員立法」は実質的に不可能です。

まとめると、寮生総会は、最高議決機関という名の、本部部会が提出した、教員による厳しい審査を経た議案を追認する機関ということになります。

総会に次ぐ議決機関「本部部会」

本部部会は、寮生会の各機関の長で構成される、議決機関 兼 執行機関です。

日本における「内閣」に相当します。

第 16 条 本部部会は、総会に次ぐ議決機関であると共に執行機関である。

沼津高専寮生会会則

参加する各機関の長は、以下の通りです。

第 17 条 本部部会は、寮長、副寮長、棟長、風紀長、企画長、総務長、庶務長、会計長、IT管理長、委員会長、マテカ執行部長をもって構成する。

沼津高専寮生会会則

本部部会は、実質的に寮内におけるほぼすべてのことを司っている機関にあたります。寮生会則に書かれている権限としては、「寮生総会の招集権限」「臨時会計監査の報告を受ける権利」「各委員会の活動状況の報告を受ける権利」「各専門委員会の年度計画の報告を受ける権利」「寮長・副寮長の解職請求に対し、信任投票を実施するか判断する権利」「予算案を作成し、寮生総会に提出する権利」「寮生会則改正案を寮生総会に提出することを承認する権利」があります。

つまり、予算・人事(解職)・立法の権限を掌握するのが、本部部会です

本部部会は、寮長自信と、任命権者が寮長である役職の人だけで構成されています。「寮長・副寮長の解職請求に対し、信任投票を実施するか判断する権利」は本部部会に与えられている権限の1つですが、本部部員全員の任命権者が寮長なのに、公正・公平な判断を本部部会ができるのかは疑問です。

加えて、本部部会には、「寮生会則改正案を寮生総会に提出することを承認する権利」が与えられていますが、これは、「1 会員の3分の2以上の要求(=署名)があるとき」に優先すると解釈することが可能です。つまり、会員の3分の2以上が寮生会則改正に賛成しているのにもかかわらず、その改正案を廃案にする権限を本部部会は有しています。(実際、そんなヒトラーの再来みたいなことが起こるかどうかは別として。)

執行機関「寮生会」

本部部会の下で、行政権の執行をするのが寮生会です。寮生会は以下の組織図のように、いくつかの機関に分かれています。それらについて解説していきます。

寮三役

寮長と2名の副寮長を寮三役と言います。寮長は寮生の直接選挙でえらばれる、寮の最高責任者であり、寮生会を総括します。また、寮長単身に対して寮生総会の議決事項に対する拒否権が与えられています。

副寮長は、寮長を補佐し、寮長に事故あるときはそれを代行する役割です。2020年に副寮長は直接選挙から寮長による指名制に移行したため、本当に"補佐"をするだけの役職になりました。(直接選挙を経ているときは、いわゆる死票を減らす役割もあったんですけどね。)

棟長

各棟の代表者で、棟員の意見を取り入れ、各棟の向上に努めるのが棟長です。棟長2名と、棟風紀2名と、棟企画2名を合わせて棟三役と呼びます。任命権者は寮長です。

1年生の寮生からすると、一番身近で一番偉い人って感じのイメージです。

風紀

寮内で適用される規則である「寮則」の違反を取り締まり、それを裁く人です。各棟に2名と各棟の風紀を束ねる風紀長が2名います。

日本の行政機関に合わせると、「警察官」+「検事」+「簡易裁判所の裁判官」+「刑務官」といった感じです。(特別公務員のオンパレード)

いろんな意味で自由にやっている感じです。具体的には1年生の寮則違反は取り締まるのに、上級生の違反は取り締まらないとか。各棟の風紀・風紀長共に任命権者は寮長です。

企画

企画を通じて寮生の親睦を図ることを目的として、各棟2名と本部企画若干名で構成されているのが、企画という組織です。各棟の企画と寮全体で行うイベントを束ねるのが2名の企画長です。

控えめに言って人員過多な部署です。

企画長の任命権者は寮長、棟企画は寮長ないしは各棟棟長、本部企画は企画長です。

2021年5月8日追記:本部企画は2021年度から廃止されました。

総務

総務は、外泊管理、鍵の受け渡しなど、寮事務の手助けをするのが、総務です。総務長2名と総務が若干名で構成されています。

企画の余っている人員を総務に回した方が良いくらい、寮内で一番仕事をしている部署です。

総務長は寮長、総務は総務長が任命権者です。

庶務

新聞発行・議事録・申請用紙・封筒・文集「峰の記」の発行や管理をしているのが庶務です。寮内の「書類」はほとんど庶務が管理しています。庶務長2名と庶務が若干名で構成されています。

庶務長は寮長、庶務は庶務長が任命権者です。

会計・会計監査

会計長・北寮会計・南寮会計・女子寮会計・会計監査の5人で構成されるのが、会計という部署です。

会計監査は前年度会計長が就任すると規則中に明記されています。また、前年度のいずれかの会計が会計長になることが多いですね。

会計の最高責任者は寮長なので、お金に関して寮長を"補佐"する部署ということになります。

任命権者は会計長は寮長、北寮会計・南寮会計・女子寮会計・会計監査は会計長が任命権者です。

IT管理

寮内のLANネットワークの管理をしているのが、IT管理という部署です。

IT管理長2名と、IT管理が若干名で構成されています。

任命権者はIT管理長が寮長で、IT管理は、IT管理長です。

寮祭実行委員

年に一度、寮の近所の人とか、中学生とかを招いてお祭りをするのが寮祭です。

その運営をするのが寮祭実行委員になります。

実行委員長の任命権者は寮長です。

マテカ執行部

マテカ執行部は、寮生の自主的勉強会(マテカ)の運営をすることを目的としたのがマテカ執行部という機関です。

マテカ執行部長2名と若干名のマテカ執行部長で構成されています。

マテカについて詳しくはこちらの記事に書いています。

任命権者は執行部長が寮長、執行部員が執行部長です。

各階

各階を代表して、各階の向上に努めるのが、階長です。一部の棟を除き各階に2名の階長が配備されています。1年生の寮生にとって一番身近な役員になります。

階長の任命権は、棟三役(棟長・棟風紀・棟企画)にあると解釈するのが一般的ですが、棟長が独占的かつ不平等に決めるケースもあるようです。

専門委員会

専門委員会は、「MC自転車管理委員会」「放送委員会」「環境委員会」の3つの総称です。

3つの委員会をまとめる役職にあたるのが、2名の「委員会長」です。

「委員会長」は、3つの委員会を総括すると同時に、寮内全体の防災を担当し、また評議委員長を兼任します。任命権者は寮長です。

「MC自転車管理委員会」は寮生が寮内に用いれる自転車及び原付の管理し、規則に違反した自転車を鎖でつないで置いたり、放置された自転車を着払いで実家に郵送する部署です。

「放送委員会」は7時と20時と22時の点呼時に寮内に流す放送をする部署です。

「環境委員会」はごみの分別について指導をしたり、寮内で植物を育てたりする部署です。

各委員会の長の任命権者は「委員会長」です。

1年生は、必ず、3つの委員会の内のいずれかの委員会に所属し、その活動を行います。自転車管理委員会は自転車をリアカーに乗せて運ぶ肉体労働が、放送委員会は、週に一回放送をするめんどくささが、環境委員会はごみ関連の分別指導や、いろいろなところの掃除をする肉体労働をする必要があるので、寮に入る人は覚悟を決めておいてください。

まとめ

寮生会の各組織についてまとめましたがいかがだったでしょうか。

中途半端な自治が行われているのが沼津高専寮だと、私は思っています。

過ごしやすい寮を追い求める意思がある人がより活躍できるような仕組みになることを切に願います。






※全寮生500人×会費3000円と新入寮生200人×500円=160万円

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