5年間の高専生活を振り返って。【沼津高専 with COVID-19】

沼津高専を卒業することになったので、5年間を振り返りたいと思います。

これの寮版はこちらの記事にて2年前に書いています。

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プロローグ

長い学校生活だったと思う。高校生にしては。

短い学生生活でもあったと思う。大学生にしては。

2023年3月31日。

5年間の学校生活に幕を下ろす日。

私は、成長できたであろうか?

私は、”人柄の良い優秀な技術者”になれるのであろうか?

”技術者”、”社会人”と呼ばれる立場になることへの不安は大きい。

5年前、親元を離れるときに感じた不安より大きい、かもしれない。

でも、今日は、一歩を踏み出す日。

そんな日に、ちょっとだけ思い出を振り返ろう。

1年生

なんとなく、な1年。

環境の変化

高専入学直後は、環境の変化へのストレスがものすごく大きかったことを記憶しています。

住む環境が家から寮に。食事が親から寮食堂に。教わる内容のレベルが上がり、授業のスピードも早くなり。50分授業から90分授業へと。そして何より、校舎が広いこと広いこと。

今までの生活が全て変わり、その生活に慣れるまで、半年近く掛かりました。

そして、ストレスからか、半年間、鼻血をめっちゃ出してました。

御殿場研修 ホラーな朝。

高専に入学後3週間くらいで、御殿場研修、通称「ごてけん」というものが行われます。

(※現在は、コロナの影響で縮小されています。)

新入生が御殿場にある青少年の家に集められ、1泊2日のオリエンテーションを受けました。

ごてけんは、寮生にとっては寮の上級生から解放されるイベントですし、自通生(※)にとっては初めてのクラスメイトとのお泊りイベントになるので、ちょっと楽しかったりします。


と、そこまでは良かったんですが、2日目の朝。見事にやらかしましたー。

朝、起きたら、鼻に違和感を覚えまして、、、。そうです、鼻血ですね。

そのまま洗面台に駆け込んだんですが、洗面台に駆け込む前にクラスメイトの誰かとすれ違いまして、なんか変な視線を向けられているな、と思っていたんですけど、

洗面台の鏡を見てその理由がわかりました。

赤い筋が、顔に縦に入っていたんですね。

朝から、血を顔に塗った人が小走りで洗面台に駆け込んでる様子って、少しホラーだったかな。と。

あのときのクラスメイトの人。朝から血を見ることになってしまいごめんなさい。

(※)沼津高専では寮生と寮生以外を区別するために、寮生以外のことを自通生と呼びます。

「最後」

もう5年近く前の授業で先生が言っていた言葉なのに、覚えている言葉があります。

「この古典の授業は、君たちの人生で、最後の古典の授業だ。」

高専卒業後に文系の大学にでも編入しない限り、高専1年の古典・地理・音楽・美術の授業は、人生最後の授業になります。

これは、高専がいわゆる文系科目を最低限しか実施しないためです。

古典とか美術とかの授業は、どっちかというと苦手な部類に入るので、この授業が終われば古典とはおさらばできる!!と喜んでいた反面、どこか寂しい気持ちにもなったことをよく覚えています。

寮は楽しい

入寮直後は、寮という環境に慣れるのが大変ですが、慣れちゃえば、寮生活は結構楽しいものだったりします。

毎日、修学旅行/林間学校みたいなもんですしね。

でも、楽しんでばかりだと、勉強に本腰を入れられない状況が作り出される可能性があります。

友人が近くにいるという環境を上手に利用して、勉強に本腰を入れるようにしないと、なんとなく楽しかった寮生活で終わってしまいますのでご注意ください。

2年生

なんか頑張っちゃった2年。

環境が変わった。成績が上がった。

2年生のときに環境ががらっと変わりました。

当時クラスの上位の成績だった人が寮の同じ階になった結果、その人につられて勉強をするようになりました。

そして、その同じ階の上位の成績の人より良い成績を出してしまったりもしました。

2年のときに環境の変化によって、成績が大きく変わる経験をしました。そんなわけで、環境が変わった事によって、なんか勉強頑張っちゃって、成績が上がっちゃった2年生でした。

(1年次がだいたい18位前後、2年次が学年末の席次で6位前後。2年次最高席次は2位。)

旋盤回してみた。

物質工学科を除き、沼津高専では”工場実習”というものがあります。

そこでなんと、旋盤を回したり、レーザー加工機を扱ったりします。

旋盤ってなんぞや?と思われるかもしれませんが、軸みたいのがガーって高速で回転していて、そこに削りたい金属をくっつけて、刃物を回転しているところに当ててバーって金属を削るやつです。

やってると、金属を削ってるー!すげー!ってなります。

また、学科にもよりますが、ガス切断って言って高火力の炎で金属を焼き切る(中二心をくすぐる?)実習もあったりして、怖いけど面白かったりします。

あの実習を受けると、工業ってすごいんだなぁって感じます。(語彙力)

3年生

よくわかんなかった3年。

コロナ。な1年。

詳細は後述しますが、帰寮予定日前日に長泉町内で町内1例目となるCOVID-19感染者が確認されたため、帰寮が中止となり、その後も分割開寮・登校などが行われました。

通常、学生実験レポートは隔週で提出する形が取られますが、分散登校の影響で、レポートを毎週提出することになったり、通常後期に設定されている授業が前期に移動したりと、カリキュラムが大幅に変更されました。

コロナというわからないことの多い不安な環境下で、授業も実験もテストも変化してしまい、変化についていくことに精一杯で、学んだ内容があんまり定着しなかった、よく分からなかった1年間でした。

「君たちはいじめられている」

これも(確か)3年前に(一般科目の)先生が言っていた言葉ですね。

「レポートやら数学やら専門科目やらを詰め込まれて、君たちは(先生に)いじめられているんだよ?気づいてる?」

この言葉を聞いたとき、へーそうなんだと思っていましたが、あんまりいじめられている実感はなかったことを覚えています。

すでに高専生活は日常になりつつあったので、課題をこなすのは当たり前になっていましたしね。

ただ、先生の視点から客観的に高専生を見ると、高専生はいじめられているらしいです。新入生/在校生の皆さん、頑張っていじめられてください(?)

4年生

忙しかった4年。

MIRS忙しい。

電子制御工学科の4年生では、「MIRS」という授業が設定されています。7人前後のグループで1年間を掛けて企画・設計・開発・レビューのいわゆるV字モデルという工程を経た小型ロボットの製作を行う授業です。

PBL型の授業で、電子制御工学科の代名詞みたいな授業になります。

本格的な企画・設計の授業は、MIRSで初めて経験するので、初めての事だらけの1年間になり、とにかく忙しかったです。

授業の設定上、1年間を通じて110時間の作業を行えば良い事になっていますが、なんやかんや休み時間、休日にも作業をした結果、1年間を通じて220時間前後の作業を行ったので、忙しかったことがお分かり頂けると思います。

本格的なアルバイト

4年生になってから、本格的なアルバイトを経験しました。

というのも、1‐3年生のときは長期休暇期間のアルバイトはしていたものの、授業期間のアルバイトはしていませんでした。

(寮生で授業期間にバイトをするのは学則的に不可能ではないですが、申請がめんどいので、バイトができなかったという表現の方が正しいかもしれません)

そのアルバイトで忙しいことに加えて、MIRSの活動もしていたので、4年次はすごく忙しかった1年間でした。

(バイトぎりぎりまでMIRSの活動→バイト→家に帰って寝るみたいな生活も一時期してました。)

バイクとか、大きいお金が必要なものを買いたいと思っている人は、3年生までにバイトを頑張って貯金しておいたほうが良いと思います(経験者は語る)。

学食

沼津高専には、学生食堂が尚友会館に設置されています。4年生になって1人暮らしを始めてからはお昼ご飯は学食を使っていました。

主要なメニューはおおむね以下の通りです。

日替わり定食
 Aランチ
 Bランチ

470円
470円

Aランチが普通の定食
Bランチがヘルシーな定食
麺類
 そば/うどん
 大盛

350円
430円

一玉のそば/うどん(夏場のみ冷を選択可)
大盛の量は1.5倍
カレー
 カレー
 カツカレー
 カレー大盛
 カツカレー大盛

350円
430円
450円
560円

カレーは飲み物。
カツカレーは上にカツが乗ります。

学食は食券を購入して、お盆を持ってカウンターに行くスタイルです。

11時30分から13時まで営業していますが、12時10分頃になるとAランチが売り切れていたりすることがあります。

2年間、主にAランチとそばにお世話になりました。ごちそうさまでした。

※食堂の入札が行われる関係で、次の4月からのメニューとは異なる場合があります。

5年生

自由な5年。

進路が決まった。

就職勢は、早い人だと3月中から進路が決まりだします。

3月から5月にかけて就職勢の進路が決まり、そこからは進学勢も決まりだしてくるみたいなイメージです。

私も例に漏れず5月には進路が決まっていました。

選択科目ZERO。

私のブログを見ていただいて数えて頂くとわかる通り、私は、外部単位制度によって10単位程度を取得しました。

電子制御工学科のカリキュラム上、5単位程度の余裕がある場合、5年次に設定されている選択科目は履修しなくても卒業できるため、私は選択科目を1つも取りませんでした。

前期の間は卒業研究がそこまで忙しくなかったので、選択科目を取らなかったことで空いた時間に、東京とかに行ってみたり、プログラムを書いたり、小説を読みふけっていたりしました。

、、、。内定を得た大学4年生みたいな生活って感じですかね?

一応補足しますが、外部単位制度によって10単位程度を取得することは極めて稀です。

ほとんどの人が1-3単位、多い人でも5単位程度を取得するのが外部単位制度の一般的な活用方法です。電子制御工学科以外の学科では、5年生の選択科目に一定の履修条件が付されていますのでご注意ください。

研究してみた。

一部の高専では4年次に、沼津高専では5年次に研究室配属というイベントがあります。

研究室に配属された後、歴代、研究室で行われている研究を引き継いだ研究や指導教員の先生の研究に関連した研究を行います。

(※一部の研究室では学生が持ち込んだ研究テーマを実施することができる場合があります)

全国的にも珍しいテーマの研究をしている研究室もあったりするので、低学年のうちからどの研究室に行きたいか考えておくとよいんじゃないかな、って思います。

特に大学院までの進学を考えている場合、研究室選択が重要ですよ~。

資格試験受けてみた。

「資格試験受けてみた」っておめー低学年の内に既にいろんな試験受けてんだろー!って言われそうですが、

高専5年次の秋に受験した”情報処理安全確保支援士試験”は、私がすでに受験した試験とは少し性質が異なります。

というのも、試験のレベルが今までの試験とは段違いに高く、正直、学校の定期試験より勉強しました。

めっちゃ口内炎ができたり、ストレスで眠れなくなったりしながら受験したのも良い(?)思い出です。

情報処理安全確保支援士試験へは無事合格しましたし、試験勉強の過程で視野が少し広がったような気がした、高専生活最後にして最高レベルの資格試験でした。

沼津高専のCOVID-19対応

学生視点の沼津高専のCOVID-19対応を書いていきます。

沼津高専の公開情報新型コロナ関連記事全記録 主要ニュース 時系列ニュース|NHK長泉町ホームページによります。

2・3年生ー変わりゆく日常。

予兆

  • 2020年
    2月上旬
    WHO/政府の発表に基づき、学生向けに注意喚起を実施
  • 2月下旬
    文部科学省の通知により、2年の終業式は集会形式ではなく校内放送で実施へ

    体育館に行かなくてラッキー。

  • 3月上旬
    学生は原則登校不可を通知。春休み期間なのでほとんど影響なし。
  • 3月下旬
    卒業式は卒業生・保護者・教職員のみで実施。
  • 3月下旬
    学生に検温を義務付け。
  • 3月下旬
    (IPA)2020年春季試験の実施を中止に。
  • 4月1日
    感染対策として部活動禁止。体調不良の際に公休扱いになる旨を通知。

この頃はまだ、「ほーん」としか思っていませんでしたね。休校になったらうれしいけど、どーせならないんだろうなぁなんて考えていました。

寮に来るな!

  • 2020年
    4月2日
    沼津高専寮所在地=長泉町で1例目の感染者発表。
  • 4月2日
    入寮(4/4予定)、入学式(4/5予定)、始業式(4/6予定)がすべて延期に。

    指導寮生の入寮予定日(4/3)前日の夜に入寮延期が発表。ギリギリ。

  • 4月6日
    4月20日を目途に始業を予定していることを通知。
  • 4月7日
    (政府)7都府県に緊急事態宣言発出。

高専によってはタイミング的に入寮延期が間に合わなかったところも。そういった意味では沼津高専は入寮前に入寮延期できた点ではラッキーでした。

このタイミングでは、4月20日頃に学校再開しそうな雰囲気だったので、春休みがちょっと長くなったなー。比較的影響小さかったなー。なんてのんきなことを考えていましたね。

延期と始業

  • 2020年
    4月13日
    4月20日の始業予定を5月18日始業予定に延期する旨を通知。

  • 4月16日
    (政府)全国に緊急事態宣言を発出。

    おー。なんか日本やべーことになっちゃってる。世紀末やー。ってテレビ見ながら思ってました。まだ安倍さんが首相のころですね。なつかし。

  • 4月19日
    4月20日
    教科書販売、授業道具の持ち出しのための入寮を実施。

    ほとんど会話できたわけでもないけど、2か月ぶりにクラスの人と会えたことへの安心感がありました。オンライン通話とかをしていたので、教科書販売まで友人とまったく会話していなかったわけではないですが、対面で会えた安心感は強かったです。

  • 5月7日
    5月18日から遠隔形式で授業を実施することを通知。

休みが長い長い長い長い。マイクラ楽しーーー!!ってことで4月、5月はマイクラをやりこんでました。

そして、やっと授業再開!およそ3か月間のながーい春休みが終了!

遠隔授業

  • 2020年
    5月14日
    (政府)39県の緊急事態宣言を解除。

  • 5月18日
    遠隔形式の始業式を実施

  • 5月19日
    遠隔形式の授業を開始。

    最初の2週間くらいは先生方もオンライン会議ソフト(Teams)の取り扱いに慣れず、授業もままならないことも。
    休憩→ミュートのまま授業再開 なんてこともざらに、、。

すべての授業が遠隔で実施され、定期試験が実施できるか怪しかったため、成績評価を行うためにほぼすべての授業で課題が出され、課題に押しつぶされていました。

分散登校/分散開寮へ

  • 2020年
    6月19日
    (政府)都道府県境をまたぐ移動の自粛要請の解除
  • 6月19日
    分散登校を6月29日から実施することを通知。

    クラスを2つに分け、片方のグループが登校/入寮(登校組)。片方のグループが遠隔で授業を実施(遠隔組)。実験系で対面が必須の授業は登校している期間に集中的に実施。

    教室は定員の半分程度、寮は1人1部屋となり感染対策が行われた。

  • 8月28日
    前期末試験の遠隔実施を通知。後期も分散登校(遠隔授業)へ。

  • 9月18日
    (IPA)2020年秋季試験の一部試験(SG/FE)の実施を中止に。

    基本情報技術者試験に永遠と受験できない(泣)

  • 10月2日
    日程に関係のない登校日を設定へ。

    学年ごとに設定された登校日(週1日程度)に、クラスの全員が登校する登校日を設定。頻度は少ないですが、久しぶりのクラス全員がいる教室!!

  • 10月9日
    部活動を一部再開へ。

    感染対策を講じた部・同好会は部分的に活動を再開へ。

  • 10月31日
    12月6日
    高専祭を日程ごと実施。

    分散登校の日程ごとに高専祭を2回行うことに。半数の在校生+教職員のみで実施される少し静かな高専祭へと。

  • 2021年
    1月12日
    (静岡県)新型コロナウイルス警戒レベルを警戒レベル5(特別警戒)へ。

    警戒レベル5であっても、分散登校を維持。

  • 2月下旬
    学年末試験は、遠隔実施。

    登校組は登校して試験を受け、遠隔組は遠隔でテストを受けました。

  • 3月20日
    昨年度と同様、卒業式は卒業生・保護者・教職員のみで実施。

    保護者も1人までと制約付き。

時系列だとわかりにくいですね。授業と試験の部分についてまとめます。

・前期(-6/28)→すべて遠隔形式で実施。家などで授業を受講。

・前期(6/29-)→日程ごと、クラスの半数の人が登校して対面形式で授業を受講。残りの半数の人は6月28日以前と同様、家などで授業を受講。

・後期→6月29日以降の形式を原則維持。週に1日程度、クラス全員の登校日を設定して、クラス全員が対面形式で授業を受講。

・前期中間・後期中間試験→不実施。

・前期末・学年末試験→両試験、遠隔形式で実施。学年末試験のみ登校組は登校して試験を実施。学年末試験は上級生の一部試験のみクラス全員対面形式で試験を実施。

※試験を実施せず、授業毎に出された課題によって評価を決めた授業もありました。これは、定期試験の実施の可否が怪しかったために課題による成績評価に移行した授業があったためです。

クラスを半分に分けて行われた分散登校の最大のデメリットは実験実習科目のレポートの提出頻度が異常なくらい短いスパンで提出することになったことだと思います。

それに加えて、ほかの授業の課題も山のように出ていたので、課題/レポートに押しつぶされそうになりました。というか、押しつぶされました。

4・5年生ーそして元の日常へと。

2021年度(4年生)及び2022年度(5年生)は、原則として対面で授業が実施され、コロナ対策として行われていた規制の多くが廃止・縮小されています。

当然、完全に元の日常に戻っているわけではなく、2021年度の前期期末試験は遠隔形式で実施されたほか、2022年度の前期末試験直前の期間は遠隔授業として授業が行われました。一部の学級で学級閉鎖が行われるなど、まだまだコロナの影響は根強いです。寮においては、今もなお1部屋1人を維持しており、沼津高専寮の定員は400人程度に減少しています。(元の定員が500人程度)

2022年度の卒業式(即ち私の代の卒業式)では、保護者が1人まで来場可能という規制がなくなり、卒業生のマスクの着用も任意という形式となりました。文部科学省の通知に基づきつつではありますが、徐々に日常に戻っていければよいなと思います。

高専/沼津高専のこと

高専に進んだ進路は適切であったか?

高専卒業段階で、高専に入学したことは、適切であったと考えています。

「生まれ変わったとしたら、もう一度高専を選ぶか?」

という問いに対しても、YESと答えます。

まず、高専において、多くの知識や経験を得ることができました。これは、高専が5年間の一貫教育を行い、実践的な授業に力を入れているがゆえに得られたものです。

高校→大学という進路を経験したことが無いため、高専と高校の2つを比較することはできませんが、「レベルの高い知識や経験を実験・実習ベースで、15歳から習得する」ことは高校では叶いません。また、実験・実習ベースの授業は大学の工学部に匹敵するか、それ以上の授業が行われていると承知しています。

高専の授業カリキュラムは技術者となるうえでとても実践的であり、他の進路と比較しても早期に高度な内容の授業が実施されていることから、高専という進路を選んでよかったと考えています。

学科の選択は適切であったか?

入学時に思ってた以上に、最適な選択だったと思います。

私の卒業した電子制御工学科(D科)は、ほかの4学科とは違う性質を持っています。

他の4学科がそれぞれ機械・電気・情報・化学のプロフェッショナルを育成するカリキュラムが構成されている一方、D科は、機械・電気・情報のジェネラリストを育成するカリキュラムが構成されています。

最終的には、機械・電気・情報のどれか1つの専攻を選んで4年生のMIRSでは行動するわけですが、低学年の内は機械・電気・情報のことについて満遍なく勉強することができます。

D科というと「ロボット!MIRS!」というイメージが先行しやすいですが、一応そんな感じの学科です。

なので、機械系に行きたい!とか電気系に行きたい!という意思があって、その後の就職先とかについても方向性が決まっているのであれば、D科はあんまり合わないかなと思いますが、

方向性があんまり決まっていなくて、、、。ということであれば、化学系に進みたい場合を除いて、D科はおすすめの学科になります。また、D科の卒業生の就職先は情報系や車産業系の会社が多いですが、電気・機械系の会社に就職する人もいるため、進路の幅という意味では他の学科に劣っていません。

、、。話がそれましたが、私はどっちかというと、いろいろなことに手を出したい派の人間なので、いろんなことを勉強できたD科という選択はとても良かったと思っています。

入学してから、いろいろな分野に手を出してみて、そのうえで自分の専攻や進路を選択することはD科以外だと困難です(できないというわけではないですが)。その点においてD科には強みがあると思っていますし、それ故にD科に入学できてよかったなと思います。

一応補足しておくと、D科からも製薬会社などの化学系の会社に就職する人もいます。が、基本的に機械の部分のエンジニア(電気・機械・制御)として採用されることが多いと思います。当然、会社によっては化学系の職に就くことも可能ではあると思いますが、基本的に、化学系の会社で化学系の職種に行きたければ物質工学科を志望したほうが無難だと思います。

もう一つ補足すると、電気電子工学科は在学中・卒業後に一定の要件を満たすことで、電気主任技術者の資格を得られます。この資格は筆記試験を通じて得ることも可能ですが、年1回しか実施されていない試験であり、レベルが結構高い試験でもあったりするので、電気電子工学科卒業生に比べてD科卒業生は時期的に後れを取る可能性があることも考えて学科を選ぶとよいと思います。

中学生に高専を勧めるか?

Q「中学生に高専を勧めるか?」

A「勧めません!」

はっきり言って、高専は特殊な学校です。

なので、多くの中学生には高校という進路が最適解です。という意味で私は中学生に高専を勧めません。

一方で、「能動的に行動できる人」には高専という進路が最適だと思います。

高専には、数えきれないほどのチャンスが転がっています。

ロボコン・Dコン・プログラミング大会・パテコン・課題研究などなど、とにかくいろんなチャンスが転がってます。そのチャンスを活かせるか殺すか、即ち能動的に行動できるかできないか。

能動的に行動して、チャンスを活かせる人、そんな人には高専を勧めます。んまあ、一般的にそういう人は変人とか言われてたりするんですけど。

とにかく、高校か高専か悩んでいるのであれば、高校に進学しましょう。

高専後の進路の決め方

高専卒業後の進路の基本的な考え方は、別の記事で解説しているのでご参照ください。

私の場合、席次を考えると進学という進路を選ぶのが基本的な進路の取り方ですが、就職という進路を選びました。

というのも、4年次の夏まではいろいろな進路を悩んでいました。

入学時は、就職志望でしたが、そこから色々なことを考えて、先生にもいっぱい相談したりもしました。

大体、検討した進路は以下の通りです。

・就職
・大学編入→大学院
・専攻科進学→公務員就職

色々調べたり、先生に相談したり、説明会に行ったりする過程で、就職という進路が良いなって思い、4年の秋ごろに進路を決めました。

当然、進路選択の裏側にはコロナの事情や経済的な(主に奨学金の制度上の)事情、公務員就職の制度上の事情など色々な事情が絡み合っていますが、最終的には納得した進路選択をすることができました。

席次は1つの進路を決める指標であることに変わりはありませんが、おおよそGPA3.0以上を維持することで就職と進学の両方の選択肢を比較して選択することが可能です。消極的な進路選択ではない進路選択が行えるように、GPA3.0以上を1つの指標として維持できるとよいんじゃないかなと思います。

自分的 Best of

Best of 頑張った授業

これはもう間違いなく、電子制御工学科といえばこの授業!という授業でしょう!

1年間を通じて、グループで頑張ってロボットを作って、実装して、プレゼンまでを頑張りました。

電子機械設計・製作(MIRS)

~D科専門科目4年計6単位~

Best of 難しかった授業

電子制御工学科の授業の中で、3年から5年にかけて、数学と物理を組み合わせた授業が専門科目として実施されています。今まで学んできた知識が総動員された授業が展開され、授業内容についていくのが一番大変な授業でもありました。

また、コロナの影響で授業の実施のタイミングが変更され、いろいろと苦労したことを覚えています。

工学数理ⅠⅡⅢ

~D科専門科目3-5年計4単位~

Best of 授業

そして、「自分的 Best of 授業」は

計算機基礎

~D科専門科目2年2単位~

です!

この授業は2年に設定されている専門科目の授業で、情報に関する理論とコンピュータに関する授業です。自分の中で最も面白かったと感じた授業の1つです。

この授業を通じて、計算機の面白さにハマった結果、基本情報→応用情報→情報処理安全確保支援士試験を受けることになったり、プログラミングが楽しくなったりしました。

おそらく、高専で受けた授業の中で最も僕の人生を変えた授業なんじゃないかなと思います。

最後に

5年間の高専生活はあっという間に終わった気がします。5年間の高専生活で、学内外の多くの方にお世話になりました。この場を借りて、深く御礼申し上げます。

コロナの影響もあり、様々なことが目まぐるしく変化する5年間でしたが、とても楽しかった5年間でもありました。

高専での5年間を糧に、これからの人生を歩んでいきます。

エピローグ

「高専はロボコン。」

高専生が1回は聞く言葉。少し年齢の高い方から。

「高専って就職に強い学校?」

高専生が1回は聞く言葉。親戚や友人から。

「高専卒の人はすごい。」

高専生が1回は聞く言葉。会社の採用担当の人から。

でも、それらの評価に、どれ1つとして、は関わっていない。

ロボコン部員ではないし、社会に出て活躍したわけでもない。

高専ロボコンがすごいのも、

高専生が引く手あまたなのも、

高専卒の人が企業で活躍しているのも、

一部の高専生や、高専OB/OGが積み上げてきた評価だ。

は、積み上げられた評価を、使用してきただけにすぎない。

でも、2023年3月31日、は積み上げられてきた評価を使う側から、積み上げる側に変わる。



さあ、高専で学んだことを、社会で活かすときが来た。

未来の高専生がより多くの選択肢を得られるようにするために、高専の評価を積み上げていこうじゃないか。

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