基本情報技術者試験の概要
基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の1つであり、情報処理の促進に関する法律の第29条第1項により規定された(正確には経産省令に委任された)国家試験の1つです。
第二十九条 経済産業大臣は、情報処理に関する業務を行う者の技術の向上に資するため、情報処理に関して必要な知識及び技能について情報処理技術者試験を行う。
昭和四十五年法律第九十号 情報処理の促進に関する法律
情報処理の促進に関する法律施行規則の別表により基本情報技術者試験の科目並びに対象となる知識及び技能が規定されています。
試験の科目 | 試験の対象となる知識及び技能 |
一 情報処理システムに係る業務に関する共通的基礎知識 二 情報処理システムの開発及び活用に関する共通的基礎知識 三 情報処理システムの開発及び活用に関する共通的基礎能力 | 情報処理システムの開発及び活用に必要な共通的基礎知識及び基礎技能 |
令和2年度から、基本情報技術者試験はCBT方式により実施されており、試験期間内であれば都合の良い日に都合の良い会場で受験することができるようになりました。
ただし、同一の試験期間内に受験できるのは1人1回までであり、試験期間は春と秋の2回しか用意されていないため、1人が1年間で受験できるのは最大で2回までです。
高専生と基本情報技術者
一部の高専では、基本情報技術者試験の合格によって外部単位が与えられます。
情報系であれば3年生の春試験以降、電気電子系であれば4年の春試験以降に受験をするのが良いと思います。
特に情報系の人は、授業内容が基本情報技術者試験内容に準拠する形で進む場合もあると思います。
機械・化学・建築・環境系の学科の人であれば、一度、ITパスポートを受験してみてから基本情報技術者に挑戦すると良いと思います。
試験内容
試験内容は主に、午前試験と午後試験に分かれています。
午前試験は150分で出題される80問全てが四肢択一形式で出題され、80問すべてに回答します。
午前試験は、80問の問題のほとんどが、過去に出題された問題と同じか、類似する問題です。過去に出題されていない全く新しい問題は、ほとんど出題されることはありません。
午後試験は150分で出題される11個の内、必須回答の大問2つと、選択式の大問を3つ選んで回答することができ、多肢選択形式で出題されます。
午後試験は、午前試験の知識を前提として出題され、直近の過去に出題された問題に類似する問題は出にくい傾向にあります。
そのため、午前試験は過去問を暗記できるまで演習、午後試験は過去問を演習して傾向をつかむという勉強方法を取る必要があります。
勉強方法
勉強法
私がした勉強方法は、
① 参考書を2周読む
② 午前の過去問を解く
③ 表計算の勉強をする
④ 午後の過去問を解く
⑤ 午前と午後の問題を周回する
といったものです。一つ一つ解説します。
参考書を2周読む
私が使用したのは、キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者という参考書です。
この参考書を約1週間かけて2周読みました。
途中に、過去問題が載っているので、それを解きながら、分からなければもう一度参考書を読み直すといった感じで、できるだけ定着するようにしました。
午前の過去問を解く
参考書を読み終わったら、基本情報技術者試験.comを利用して、過去問の周回を行いました。
最初は、解いたことの無い問題形式の問題をどうやって解けばよくわからずに、正答率が60%程度でしたが、演習を繰り返すことで正答率を80~90%に持っていくことができるようになりました。
過去問の周回をしていて、正答率が90%に行ったら午前の勉強は取り合えず十分と判断して、午後の勉強に取り掛かりました。
表計算の勉強をする
表計算の参考書なる物が、合格者さんのブログなどで紹介されていたので、購入はしてみたのですが、ほとんど使いませんでした。
というのも、表計算は、Excelの関数が日本語になっただけなので、Excelの関数に慣れ親しんでいる人は、過去問を何回か解けば80点を普通にとれるようになります。
私も過去問を何回か解いて、表計算の勉強は十分と判断しました。
午後の過去問を解く
表計算の勉強を終了させたのち、次は、基本情報技術者 試験によくでる問題集【午後】を利用して午後の問題を解きました。
午後の問題は、午前の知識を前提につくられており、また、過去問のパターンにある程度近いタイプの問題が出題されています。
そのため、過去問の解法を覚えるというより、過去問の解説を読み込んで、問題の形式が変わっても対応できるようにしました。
問題集の内、自分が理解できていなそうな部分を重点的に解きました。
午前と午後の問題を周回する
テストの3日前くらいから、過去問を当日の形式に合わせて300分を使って解くということをしました。
(実際には120分くらいで終わってしまうことが多かったですが。)
また、すき間時間に基本情報技術者試験.comを解いていました。
意図的に解かないようにして、テスト前日のために取っておいた令和元年度の秋の過去問を、テスト前日の夕方に解いて、午前午後とも80点を超えていたので、安心して夜を眠ることができました。
使用参考書
使用した参考書は、主に、以下の2冊です。
上の2冊に加えて、基本情報技術者.comというサイトを利用しました。
一応、表計算の参考書も購入しましたが、使うことはほとんどありませんでした。
Excelの関数に触れたことが無い人は購入した方が良いかもしれません。
時系列
- 4/16オンライン申し込み
プロメトリック株式会社のホームページから、試験の申込と、受験会場の予約を行います。会場によっては、受験日の選択肢が大幅に少ない場合がありますので、早めに申し込むことをお勧めします。
- 4/16~4/24キタミ式を2周読む
受験申し込みから受験日当日まで約3週間あったので、初めの1週間は参考書を読み、基礎を固めました。ここでは、無理に暗記しようとせずに、概要を理解するように努めました。
- 4/24~4/27午前の問題の演習
参考書を読み終わったら、基本情報技術者.comを利用して、午前の問題の演習を行いました。最初は、合格ギリギリラインの得点しかとることができないスコアでしたが、演習を続けていくにつれて、徐々に点数が上がっていきました。
- 4/28表計算の勉強
午前の勉強が十分にできたと判断したら、次は表計算の勉強をしました。が、すぐに問題を解けるようになったので、すぐに、午後の演習の方に移行しました。
- 4/29~5/3午後の問題の演習
午後の問題集を利用して、演習を行いました。特に、自分が理解ができていなかった、アルゴリズムなどの部分を重点的に行いました。
- 5/3~5/8午前と午後の問題の演習
午後の問題がある程度解けるようになったら、最後に、時間を測ったうえで問題を解くということをしました。何回か解いてきて、時間が長いことにも慣れてきて、得点も安定してきたので、少し安心しながら試験当日を迎えました。
- 5/8試験当日(午前試験)
午前試験は、会場に着いた人から順次試験が開始され、10時からの試験区分での受験でしたが、少し早めに試験が始まり、少し早めに試験が終わりました。(CBTだからこそできることですね。)
- 5/8午前の試験結果通知
試験終了後、電源を落としていたスマホの電源を入れたときには、プロメトリック株式会社から試験結果のスコアレポートが到着しており、77.5点ということで、合格していることが分かりました(一安心)。このスピードで国家試験の結果が分かるというのも、初めての経験でした。まさにCBTのメリットですね。
- 5/8試験当日(午後試験)
午後試験は昼休憩をはさんで、13時45分から実施されました。試験中、苦手な問6のアルゴリズムをいったん飛ばして表計算の方を解いていたのですが、試験終了10分前まで、飛ばした問6のことを忘れていました。
問6のアルゴリズムを爆速で解き、超ギリギリで解き終わり、タイムアップ。
- 5/8簡易的な午後試験結果通知
問6に関しては60%以下の得点率の可能性もあるな...とビクビクしながらスコアレポートを見たら、問6も含めてすべて60%を超えており、また大問3問は全問正解の100%となっていました。
- 6/28合格発表
6月28日の正午にIPAのホームページ上で合格発表が行われ、合格していました。
- 7/5午後の試験結果通知
7月5日にIPAからはがきが届き、午後試験の最終的な得点率が通知されました。というのも、プロメトリック株式会社のスコアレポートは、大問ごとの得点率は分かるものの、午後試験全体の得点率は分かりません。そのため、このようなはがきで通知がされたのです。得点は85点ということでした。問6をもう少し余裕を持って解けていれば、もう少し高かったのかもしれません。
- 7/9合格証の受け取り
7月9日に(確か)簡易書留で、合格証書が送られてきました。
地味に、人生で初めての、大臣の名前が書かれた証書を手に入れました!
あと、7月14日に受験番号が官報で告知されました。これも、人生で初めてですね。
まとめ
基本情報技術者は情報系技術者の登竜門とも言ってよい資格の1つだと思います。
CBT試験への移行によって、基本情報技術者試験を受けやすくなった人が増えたと思います。
ITパスポートからのステップアップでも、いきなり基本情報技術者受験でもよいと思いますので、情報系・電気電子系の高専生は受験してみてはいかがでしょうか?
注意
ここでいう、「午前試験」及び「午後試験」は、あくまでも試験の名称であって、午前試験を午前に受験することを求められたりするものではありません。CBTテスト移行前のペーパーで試験を実施したときの名称の名残です。CBTテスト移行後は、午前試験と午後試験を別の日に受験したり、午前試験を午後に受験したりすることができるようになりました。
「午前試験」及び「午後試験」は、他の国家試験の「一次試験」と「二次試験」や、「筆記試験」と「実技試験」のような名前に対応する物です。
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