モデルコアカリキュラムの概要
モデルコアカリキュラムとは
高専におけるモデルコアカリキュラム(MCC)は、高専を卒業するまでに身につけるべき知識や能力の具体的な到達目標を指します。
全国にある高専の卒業生が、どの程度の能力を持っているかを示す”教育の質を保証”するためのものとなっています。
高専と社会
令和元年の本科及び専攻科修了生の進路のデータから、高専本科卒業生の58%が就職し、17%の学生が専攻科に進学します。専攻科修了生の内、68%の学生が就職という進路を選びました。(※1)
高専卒業生100人当たり70人が、本科ないしは専攻科修了時点で社会に出ていくということです。
MCCの価値
高専卒業生の多くが社会に出ていくからこそ、高専卒業生が有している能力が保証されている必要があります。
当然、全国にある51国立高専の卒業生の能力が高専ごとによって大きく異なるということがあってしまえば企業にとって高専卒業生を扱い辛くなってしまう要因になりかねません。
MCCの歴史
MCCは平成23年に試案が策定され、平成30年度入学学生からMCCを導入した教育が実施されました。
MCCの内容
MCCは、「分野共通で備えるべき基礎的能力」、「分野別の専門的能力」、「分野横断能力」の3つに大きく分けられ、卒業までに学生が獲得すべき能力が明示されています。
「分野共通で備えるべき基礎的能力」、「分野別の専門的能力」 については、主に、知識や能力の部分について明示されており、座学及び実験実習科目で身に着けるべき能力が定められています。
「分野横断能力」 では、ほかの人と話す際のコミュニケーション能力や、チーム内での立ち回り、創作・デザイン能力等の、人間力の到達目標について定められています。
MCCの相対的位置
MCCは単体で高専における教育が実施できるような具体的な内容については定められていません。
各高専・学科における教育目標や、各授業のシラバスを作成する際に、最低限習得すべき能力についてMCCに定められています。
また、多くの高専で、地域社会への貢献を実施しており、各高専の地域性や特色に合わせた授業も実施するべきという考え方から、MCCには最低限度の到達目標しか記載されていません。
そのため、MCCが制定されているからと言って、各高専や学科による独自的な科目の設定が妨げられるといったことはありません。
まとめ
多くの高専卒業生が社会へと進んでいくからこそ、高専卒業生・専攻科修了生の最低限度の能力が保証されている必要があり、その保証を行っているのがMCCであるということです。
学生としてMCCを意識するタイミングはあまりありませんが、MCCがあるからこそ、企業の採用担当の方はより安心して高専生を採用することができるようになると考えられます。
MCCと似たようなものに、JABEEもありますが、全ての高専がJABEEの認定を受けているわけではないので、そういった意味ではMCCが唯一の高専本科卒業生の質保証を行うものであるとも考えられます。
引用・参考
(※1)KOSEN(2020年度),(独)国立高等専門学校機構,https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/resources/letter/kouhou/gaiyou2020.pdf (page16),アクセス日2022年1月8日
(※)モデルコアカリキュラムに基づく高専教育, (独)国立高等専門学校機構, https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/MCC/modelcoreleaflet2018.pdf,アクセス日2022年1月8日
(※)モデルコアカリキュラム-ガイドライン-(経済・ビジネス系を除く)平成29年4月28日 , (独)国立高等専門学校機構, https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/MCC/mcc2017all.pdf,アクセス日2022年1月8日
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